嘘の息子覚書控え

本家の控え

2019-05-27

某板にて、デビュー当時の菊地秀行夢枕獏西村寿行の影響を受けていた、という話題を目にする。手元にある西村寿行の本は『癌病船』シリーズだけで、夢枕獏の方は分からないけれど、菊地秀行は似ていたかなあと首を傾げる。が、ものは試し、図書館で西村寿行を借りてみよう……と、西村寿行の中では後期(1994年4月初版)となる『鬼の都』をパラパラと。うわっ、読みやすい。もとい、文体に見覚えがあって初見なのに読み慣れてる感じすらある。あー、確かに、『魔界行』の頃の文体だ。納得。
で、長編ハード・バイオレンス小説という触れ込みの『鬼の都』。雰囲気は楽しめるものの、連続猟奇事件にまつわる起承転結とか放り出したような幕切れに、半ば呆然。この辺りも、ある意味、菊地秀行が踏襲していると言えるかもしれない。物語を終わらせるって難しい。

「「一生応援します!」と手紙をくれていた人が、気づけば他の人推しになっていた…なんてのはザラにある事で(笑)だから「一生」という言葉には何の説得力も感じないのだけれど、その瞬間「永遠」を感じてくれた事が真実であるならば、そこにはとてつもない価値があると思うんですよね。」