嘘の息子覚書控え

本家の控え

2020-03-05

相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠講談社(1700円)税別
第1話から第3話までは手こずりながら読み進めて、相沢沙呼ってこんな話を書く作者だったかなとか首を傾げた後、最終話で物語がクルリと裏側を見せての謎解き。前評判の高さを知って読み始めたのが失敗で、読むのに身構えすぎてしまった。受け身の準備を整えてから投げられたような、間の悪さ。閑話休題。第3話までのヒロインのあざとさが、クルリとひっくり返っただけだったら印象が乏しかったかもしれないけれど、エピローグの「乙女かよ」で想像の余地を残されたのが楽しかった。
カバーイラスト、遠田志帆の画風に既視感があると思ったら、綾辻行人の『Another』や『Another エピソードS』、今村昌弘の『屍人荘の殺人』や『魔眼の匣の殺人』も描いていたのか。そりゃ見覚えがあるわけだ。

ドラクエⅣの時に店長と 客が並ぶに違いないと
徹夜して店に泊まったが 誰一人来なかった 次の日 他で買えなかった子供がとぼとぼ店に入ってきて
ドラクエ4ありますか」と半ば諦めかけた言い方で聞いてきたので
「ありますよ」と言い返したときの パァアアアと笑顔になった時が忘れられない」