嘘の息子覚書控え

本家の控え

2021-05-04

似鳥鶏『生まれつきの花 警視庁 花人犯罪対策班』(河出書房新社)1600円(税別)
差別社会を取り扱ったSF小説。「特殊能力を有し、知力・体力も常人以上、さらに性格も温厚で、犯罪など起こさないはずの「花人」」が人口の2%を占めたという設定の現代日本で、花人犯罪と、その他諸々。3つの事件と終章のどんでん返し、それぞれの間に掌編が挟まる、どこかで同じ構成のミステリー小説を読んだような……確か、相沢沙呼の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』がこのような構成ではなかったかな。偶然か、それとも誰かの意図した仕業なのか。ウィキペディアを見ると、霊媒探偵の方が「2019年9月 講談社」で1年ばかり早い。『生まれつきの花 警視庁 花人犯罪対策班』では、3つの掌編を、わざわざ色違いのページにデザインしている凝りようで、力が入ってる。

「『まどマギ』が「カルト的人気」とかでなく、社会現象的な人気を博した理由は、社会階層の風習の歯車に潰されていく日本社会の普遍的な苦しみと諦めの空気を、男性にも女性にも身近な「魔法少女」(それぞれ違う文脈だが)という設定を通して表現し、寄り添って本気で苦悩してくれたからだと思う。」