嘘の息子覚書控え

本家の控え

2022-11-05

コーヒーを飲みながらロイズの生チョコレートをつまんで、樋口有介の『少女の時間』を読んでいると、もう他には何も要らないような心地になってしまう。いやいや、『うしろから歩いてくる微笑』も捨て難いし、月刊EYESの新米編集者である小高直海の出番が一番多いだろう『捨て猫という名前の猫』を読むのもいい。作者が亡くなって出ることのなくなったシリーズ最終巻、小高直海の見合いの結果はどうなったのだろう。柚木草平は山代千絵と再婚してしまうのか、はたまたファザコン娘の美早が母親と同様に二十歳そこそこで結婚にこぎつけるのか。「ミステリーズ!」誌での連載をもう一度見たかった……ウィキペディアを覗いてみると……おおっと、「vol.105(2021年2月号)で最終号となり、後継誌として総合文芸誌『紙魚の手帖』が2021年10月12日に創刊された」とある。なんと。

「「なにも信じられない!金だけは信じられる!」実際には金だって信じられないのだが、本当になにも信じられないと人間どうしようもないから、信じられないなかのマシな部類のひとつを信じられるということにしておくウソによって、自分をなにかできる状態にもっていくためのわるあがきなのだ。」