嘘の息子覚書控え

本家の控え

2023-01-11

近藤史恵『タルト・タタンの夢』(創元推理文庫)700円+税
小さなフレンチ・レストランを舞台に、ギャルソンを語り手として、客たちが持ち込む謎を料理長が解き明かしていくコージーミステリーの短編集。今は亡きミステリ専門誌「ミステリーズ!」の初期に掲載された7編を収録。近藤史恵の本を読みのは久しぶり。明白な犯罪行為があって、タイトルの中では唯一片仮名が混ざらない、「理不尽な酔っぱらい」が一番かな。他も残らず面白い。創元推理文庫は、表題の書かれたページをめくった裏に外国語でのタイトルも書かれていて、この本の場合は「UN REVE DE TARTE TATIN」。その下に2007.20014とあるのは何故だろう、とあちこち読んでみたら、巻末の初出一覧のところに「本書は二〇〇七年に創元クライム・クラブの一冊として刊行された。」とあるので、文庫化するまで7年掛かったのだろう。このシリーズ、3巻まで出てるようだから、いずれ続きを読んでみたい。

「人はそれぞれの「つらさ」を持っているので、「自分のほうがつらいぞバトル」を始めるのは他者の軽視だし、それは回り回って「自分が大切にされない世界」に踏み込むことと同じですよ。」