嘘の息子覚書控え

本家の控え

2023-10-18

某所に触発されて、ロジャー・ゼラズニイのSF短編小説「復讐の女神」を浅倉久志の訳で。1頁目から、これはもっと前に読んでおけば良かった、と思ってしまった。つまり、サンドール・サンドールという博覧強記のキャラクター紹介が始まって、あらゆる入植惑星の天体図から路地裏まで画像判別ができて、各所の情報を知っているという説明が、今だとGoogleの一言で片付いてしまって、いや、片付いてしまうと思ってしまって、味気ない。全体も今なら「Googleたちが裏切りケモナーを追い詰める話」に圧縮できてしまう。これはもっと早く読んでおけば、もっと味わい深い話だったに違いない。原題の「The Furies」や最後の段落で唐突に復讐の三女神などという単語が登場するに戸惑ったが、これは解説文にあった「SFと神話の融合をはかった」というゼラズニイの作風なのだろうと解釈した。

「「改心」というのも、こないだの悪人説みたいなもので、現代の考えではないと思うんだよなー。ひとは改心できない。わるい心からいい心にならないしその逆もない。目先の判断がよかった悪かったか、ただそれだけで、それが一生続く。でもそれは面倒くさい。だから受け入れたくはない。」