嘘の息子覚書控え

本家の控え

2019-06-11

某所より。
「結果的にわかったのは、依頼者と実行者という二つの存在が噛み合ったときに殺人が発生するということだ。
 世の中で起きている殺人の多くは依頼と実行という二つの作業を一人で実行する。だからそのハードルは高くけわしいのだ。
 誰の心にでも巣食うネガティブな感情。それは世界中の誰しもが持ちうるものだ。抑えきれない感情を抱えてストレスに苛まれるのが普通だろう。その感情は単純なものである。そして、時間がたてば消え去るものでもある。この感情を私は、水が自然に蒸発していくようなイメージで捉えている。
 なかには蒸発しない人もいる。それどころか醸成され、ドロドロの粘液に変化していく。それこそが殺意であり、殺し屋へのアプローチにつながるのだ。
 第三者への依頼というのは、罪の意識が低い。実行するためのプロセスで冷静になることもない。自分は結果だけを受け取り、被害者の苦しみをダイレクトに感じることもない。」
戦争でも刑罰でもなく、ビジネスとしての殺人の依頼となると、フィクションの出番。

「「元気出して」って、何でバックヤードに在庫がある前提なんだ。元気はいつだって棚に出てるやつで全部なんだよ」