嘘の息子覚書控え

本家の控え

2023-10-29

某所より、樋口有介の『ぼくと、ぼくらの夏』が再び創元推理文庫から再出版だとか。文藝春秋のハードカバーから文春文庫になって、文春文庫の新装版があって、今度の創元推理文庫版かな。樋口有介創元推理文庫になる度に作者あとがきを載せていたけれど、今回は流石に無理だろう。『ぼくと、ぼくらの夏』はデビュー作だけあって、後の本では見られないような文章が、逆に印象に残る。「てえへんだ、こいつはてえへんだ。」。ヒロインがずっと「麻子さん」と書かれるのも、樋口有介の本の中ではこれだけだった気がする。樋口有介は文庫化の際、全文末に修正を入れるような印象があって、「空虚な言葉と解っていて、言わないよりはましなことだってある。」の続きが、ハードカバーでは「君は、これから」だったのが、文庫では「君は、これからさ」に変わっていて、断然、ハードカバーの方が良かった……と思ったが、探してみても文庫版が見つからないから、模造記憶かもしれない。「ハンバーガー二コ」は文庫で直されていたかな?

「後に続く人たちを
「偽物」呼ばわりする様になったら
その分野で
落ち目になったってことなんですよ。

皮肉ではなくて真面目な話。」